| このお店の料理を初めて知ったのは、この春だったと思う。それから半年もたたないうちに、何度この店を訪れたことだろう。家族と、友人と、仕事仲間と。すべての知人に、常連として自慢したくなる。「ね?絶妙でしょ?」
仕入れた新鮮な材料を元に、その日のメニューが黒板に書かれている。鮮度を大切にしているから、ほとんどが道内産だ。厚沢部(あっさぶ)産鴨胸肉のロースト5種のスパイス風味、洞爺産骨付き豚ロースのローストと紫キャベツと栗のココット、などなど。さーて、今日は何にしようかと、サーブをしてくれている奥さんにあれこれ聞きながら決めるのがまた楽しい。
白い皿に盛り付けられた彩りや、マルミット鍋と呼ばれる黒い鉄鍋から立つ熱々の湯気。その香り。
テーブルに料理が運ばれたときから、目も鼻も集中する。ここの料理は濃厚なソースのフレンチとはちょっと異なる。必ず素材が本来持っている味を際立たせる。絶対に味をごまかさない。
秋刀魚のマリネの新鮮さ。多種の野菜それぞれの味と、歯ごたえのあるピクルス。テリーヌのなめらかな舌触り。繊細な味加減。うまみが凝縮されたマッシュルームのスープ。ローストの火の通し具合。ハーブの妙。
どの前菜を頼んでも、どのメインを注文しても、期待を超える。一品一品のその丁寧な仕上げを、厨房で28歳の佐藤シェフがひとりで切り盛りしている。
親しい仲間のときは、イタリアンのようにみんなで取り分けて、喜びを共有しながらわいわい食べる。食べながら、「これが緑ナス?」「根セロリのクレームって優しい味ですね」「これって何ですか?」と、また何でも奥さんに尋ねたりする。
シェフの知り合いの猟師が獲ったという色鮮やかな鹿のカルパッチョは、やわらかく上品な甘みが口に残り、これが生肉とは信じられなかった。添えられた少し苦味のあるアンディーブとくるみのサラダが、さらにその甘みを引き立ててくれている。
そろそろお腹が一杯かなと思っても、絶対デザートはいただく。
こってりとしたビターチョコレートのガナッシュは舌の上でさっと溶け、ぴりりとした緑胡椒のアイスクリームがさらに食欲を刺激する。
洋梨のスープの清涼感には工夫があった。ジュレ状のスープに、ガーゼでくるんだハーブを最初と最後、わずかに浸すことで香りつけしていると言う。それをアーモンドのアイスクリームと合わせる心憎い演出。
エスプレッソで締めて、私はまた自信たっぷりと同行者に確認する。「ね?絶妙だったでしょ?」
(2008年7月1日更新/2004年10月1日・記)
必ず元気をもらう 〜hofe
■ hofe
住所 札幌市中央区南1条西7丁目
電話/FAX 011-272-1118
営業時間
ランチ 11:30〜15:00 土・日はランチコースのみ2,200円
(14:00 オーダーストップ)
ディナー 18:00〜23:00 アラカルト又は、おまかせディナーコース 3,800円(全5品)・5,000円(全7品)
(22:00 オーダーストップ)
定休日 月曜 (第1火曜日・ランチタイム定休)

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鴨肉とフルーツコンフィのテリーヌとピクルス

鹿肉のカルパッチョ、アンディーブとくるみのサラダ添え
厚沢部産鴨胸肉のロースト5種のスパイス風味。コリアンダー、カルダモン、ねずの実、八角、金針葉(きんしんよう)の5種のスパイスを楽しむ。

イチジクのタルト、マスカポーネ添え 。丸ごとのイチジクが入ったフレッシュイチジクのタルト。イチジクの酸味とタルト生地の香ばしさと、クリーミーなマスカポーネチーズが3重に絡み合う。
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