年末年始の札幌の楽しみ方と、街の表情をお伝えする「札幌で、年越し」。最後にご紹介するのは、道内最多の初詣客を集める「北海道神宮」です。寒くても、雪が降っても、毎年三が日には70万人以上もの参拝者が訪れる「北海道神宮」とは、どんなところなのでしょうか。歴史や由緒をはじめ、参拝の際の準備や、知っておくとちょっと嬉しいオイシイ情報などもお届けします。
雪の北海道神宮。円山の森に抱かれ、外界の騒音から隔絶された空間は静謐そのもの。
大晦日から三が日には露店が立ち並び、表情は一変。お正月ならではの活気が満ちあふれる (写真提供:北海道神宮)
「札幌」は、円山から始まった
北海道神宮がある円山地区は、札幌の中心部「大通」から、地下鉄東西線で約5分のところにあります。小さな山の裾野に広がる「円山公園」を中心に、森や林に恵まれ、落ち着いた雰囲気が漂うエリアです。
「円山」は文字通り、こんもりとまるい形をした小さな山のこと。さっぽろテレビ塔など、市内の展望スポットから西の方を眺めた時に見える、ちょっと街の方にせり出した小さな山。それが「円山」で、その周辺を「円山地区」と呼んでいます。
明治2年、当時は「コタンベツ」と呼ばれていた小さな山の頂きに、明治新政府から派遣されたひとりの判官が、唐櫃(からびつ/貴重品を入れるための用具)におさめた開拓三神の御霊代(みたましろ/神霊の代わりとしてまつるもの)を背負ってやって来ました。広大な原野を眼下に、彼は壮大な気宇に満ちた詩を詠み、その最後をこう締めくくりました。
「他日五州第一都」すなわち 「ここに世界第一の都を作るのだ」と。
そんな先人たちの思いが刻まれた、札幌の原点とも言える土地。それが「円山」です。唐櫃におさめられ札幌にやって来られた御霊代は、ひとまず仮社殿に鎮座され、明治4年、社殿の完成とともに、現在の円山の地に遷され「札幌神社」と呼ばれるようになります。これが、現在の「北海道神宮」(昭和39年改称)です。
札幌の歴史とともに始まり、開拓と発展の様子を見守り続けてきた当神宮の境内には、「開拓神社」や「札幌鉱霊神社」「穂多木神社」など、北海道開拓に一命を賭した功労者をまつった神社もあり、190万都市となった今も、これらのお社に手を合わせる人が少なくありません。気温が氷点下になっても、雪が舞っても、たくさんの人で混雑していても、やはりお正月には神宮に詣でてしまう。その気持ちの奥底には、約140年をかけて、この街をつくりあげてくれた先人達を偲ぶ、そんな思いが秘められているのかもしれません。
雪国の初詣
実際の参拝にあたり、気をつけていただきたいのが、まず寒さです。歩いている時はさほどでもありませんが、じっと立っているとどんどん寒さがしみてきます。あまりにも人出が多い場合、拝殿の前に進むまで時間がかかることもあるので、防寒対策は万全に。インナーもアウターも保温効果の高いものを選ぶのはもちろん、カイロなどもご活用を。貼るタイプの使い捨てカイロを下着の背中や腰の部分に貼っておくのもおすすめです。また、首、手首、足首は出来るだけ冷やさないようお気をつけください。
貴重品や荷物は極力少なめに。手袋をしたままだと、バッグの開け閉めがしにくいもの。うっかり開いたままにして、落し物をした場合、周囲の賑やかさに紛れて気がつかないことがあります。十分ご注意ください。雪道に慣れていない方は足元の準備を怠りなく。円山周辺は坂が多く、天候によっては非常に滑りやすくなります。雪道用シューズを用意されるか、靴に装着するタイプの滑り止めをご用意ください。市内の靴屋なら、ほとんどのお店で用意しているはずなので、札幌に到着されたら、まずお店で相談を。
準備が整ったら出発です。宿泊先によっては初詣専用バスが用意されているかもしれません。予約が必要な場合もありますので念のためご確認ください。個人で向かわれるなら、渋滞のない地下鉄がおススメです。円山公園駅からは、徒歩約15分と若干歩きますが、周辺のお店が福袋を販売していたり、無料でお菓子やお茶を配っていたりと、地元の人とふれあえる楽しみもあります。
また、円山公園駅からは、初詣の臨時バスも運行されます。足元が不安な方はぜひご利用ください。
御存知ですか?「判官さま」
さて、参拝客でいっぱいの参道からは、ちょっと見づらいかもしれませんが、本殿の門前、向かって左手に悠然とたたずむ、烏帽子(えぼし)に狩衣(かりぎぬ)姿の銅像をご存知ですか? この像が、冒頭でお話した明治の開拓判官・島義勇(しま よしたけ)の像です。旧佐賀藩士。佐賀七賢人にも数えられ、安政年間から北海道と樺太を探検、調査するなど北方の事情に明るく、短い在任期間にも関わらず「北海道開拓の父」「北海道神宮の創祀(そうし)者」と呼ばれる功績を残しました。
このため、歴史好き、あるいは神社巡りが好きな市民の間で「判官さま」といえば、この島判官。ところが、近隣の子供たちや、甘いものが好きな方々にとって真っ先に思い浮かぶ「判官さま」は、ちょっと違うものであるようです。
それは、この神宮の境内でいただける焼餅「判官さま」。もちろん、名前は島判官に由来します。マルセイバターサンドで有名な六花亭製菓が運営する「参拝者休憩所」で、参拝者ひとりに1個ずつ、あったかいほうじ茶とともに無料で配られます。全国に販売網を持つ六花亭でも、このお菓子を取り扱っているのは、この休憩所と、近隣の「円山店」のみ。休憩所での無料提供は数に限りがあり、三が日は混雑必至。味わってみたい方は早めの参拝をおすすめします。確実に手に入れたい場合は、円山店で購入されるのが無難。価格は、4個380円。生菓子ですのでお早めにお召し上がりください。
ゆかりの神社を探して参拝してみては?
今回ご紹介した「北海道神宮」以外にも、市内には、札幌の歴史とともに歩み、地元の崇敬を集めている神社がたくさんあります。
人の多い場所が苦手な方、慣れない雪道が不安な方は、北海道神社庁の「北海道内神社検索データベース」で、宿泊先の近くの神社や、ご縁のある神社を探して参拝してみては?開拓時代には、同じ地方の出身者が集まるように居住していたためか、それぞれの国元の神さまをおまつりしている神社も多く見られます。全国から人が集まって造られた札幌のこと、あなたの地元ゆかりの神社も見つかるかもしれません。
年の初めの大切な一日、どうぞご自分らしく楽しまれますように。
よいお年を、お迎えください。






北海道神宮
- 住所
- 札幌市中央区宮ヶ丘474
- アクセス
- 地下鉄東西線「円山公園」駅から徒歩15分
- 公式サイト
- http://www.hokkaidojingu.or.jp/
- 関連サイト
- 初詣交通規制のお知らせ
初詣参拝者順路
(北海道神宮公式サイト)
※大晦日から元日にかけては大変な混雑が予想されます。事前に上記ページをご確認の上、ご参拝ください。
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〈取材協力〉北海道神宮、北海道神社庁、三吉神社、六花亭製菓株式会社













