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2004/07/01の記事です

昨年を想い飲むワイン

  札幌から車で30分、三笠の山崎ワイナリー

 そのワインを口にしたとき、フレッシュな白葡萄(ぶどう)の香りの華やかさに驚かされた。
 甘味やコクを十分に持ちながら、すっと引いていくあと味の爽やかさ。すっかりフランスワインだと思っていたところに、「札幌近郊の三笠で造られているワインです」というソムリエールの話に、再び驚いてしまった。少量生産で、家族だけでワイナリーを経営しているという。 三笠は札幌から車で30分ほど。かつて炭鉱町として栄え、北海道で一番最初に鉄道が走った町だ。今年の葡萄はまだ実っていないが、葉がようやく出始じめる今の畑を見に向った。

 三笠インターからすぐ、小高い山の上に山崎ワイナリーはある。
 オーナーの山崎和幸さんが、足場の基礎から建てたファームインのロッジと、ワインの醸造所は、真っ青な空の色と調和して、ここだけ異空間のような風景が広がる。毎年訪れるニュージーランドの農業の自由な発想スタイルに憧れて、建てたのだそうだ。山崎和幸さんは、農家の三代目。この土地で若い頃から父親のあとを継ぎ、農業をしてきた。18年ほど前に農業研修でニュージーランド、オーストラリアへ行き、初めてワインの美味しさに出会って以来、ワインの虜になってしまったという。

 その後、本州のワイナリー経営者との出会いがきっかけとなり、6年前から葡萄を植え始めた。東京から醸造の技術者も招いて、醸造免許の取得と、本格的なワイナリーの準備が始まった。

 現在一般に行われているワイン生産の過程では、葡萄の生産と醸造をそれぞれ別々に行うことが多い中、山崎ワイナリーは、栽培から醸造、出荷まですべての工程をここで行っている。栽培から醸造までを考えると、20,000本以上生産しないとコストは合わないが、葡萄の状態を見ながら栽培し、一貫した醸造をするので、品質にバラつきが出ない。2002年、ワインを初出荷。11,000本のワインは完売した。

 三笠の土地は、日照や水はけなど、葡萄栽培の条件が良く、糖度は23度。北海道より緯度の低い本州でも難しいといわれる糖度に仕上がった。フランスのブルゴーニュでも栽培されている、赤ワイン用の葡萄品種の代表格ピノ・ノワールの出来も上々だ。

 「北海道で作る葡萄は酸が強いが、その酸味も味のバランスとしてはとても大事です」と、山崎さんは言う。最初にワインを口にしたときに感じた、どこか日本離れしたワインの印象は、それだったのかもしれない。                      
 今、フランス製の樽に入った赤ワインが今秋の出荷を待っている。
 「去年の夏は涼しかったから、ちょっと酸味が強いかな、なんて言いながら、ワインを飲めるなんて、フランス人になったみたいだ」と友人は言う。
  昨夏の思い出と一緒に味わうワイン。こんな贅沢な味わい方が北海道にはあったのだ。

(2004年7月1日・中根知子)

 
 
札幌から行く (三笠へ)

バス:札幌駅前バスターミナルから都市間高速バスで約1時間20分

車:札幌インターチェンジから道央自動車道で約30分で三笠インターチェンジ着(約42km)。一般道では国道12号線経由で約47km

三笠市公式ホームページ

画像:ブドウの木
手が行き届いている山崎ワイナリーの畑。愛犬と毎日畑の様子を見てまわる。 
画像:ブドウの葉冬は、木が寒さで傷んでしまうので、雪を盛って越冬させる。 手で一つ一つ地上80センチメートルのワイヤーから外す手間のかかる作業だ。 ヨーロッパのワイン産地に比べて冬の寒い北海道。空知地方の大量の雪は葡萄の木を守ってくれるのだと山崎さんは言う。画像:オーナーの山﨑和幸さん
オーナーの山崎和幸さん(54歳)
今年から、東京で勉強をしてきた長男も加わり家族3人での経営が始まった。
ラベルには、家族の指紋を使った花模様のデザインが描かれている。

画像:札幌から三笠までの地図

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