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2010/07/01の記事です

魚河岸ひかり寿司 

画像:特選お好み寿司
2,800円の特選握り。この店ではこれが一番の高額の握り合わせだ。エゾアワビを頼もうが、道産の王道、戸井のマグロの大トロを頼もうが、大きなボタンエビ、高級魚となってしまったキンキを頼もうが勝手だ。市場の仲買として30年以上修行し、魚の流通手法を新たに生み出し、独立して買参しつづける光水産の社長がいて、料理が好きで寿司職人になった大将がいて、二人が協力しなければ、この価格と品質は実現しないだろう。
 「お好みで10貫選んでいいの。アワビでも、ウニでも、大トロでも」思わず聞いてしまった。一つのネタは一貫に限るのだが、上限の値段が決まっているから、懐具合を気にせず、じゃんじゃん頼めるわけだ。「今度友達がくるからさ、いつもの市場寿司じゃなくて、東京の奴が喜びそうなの握って見せて」といったらすごいのが出てきた。 噴火湾のボタンエビ、ホタテ、近海のタラバ、苫小牧のホッキ、銭函のシャコ。日高のトキシラズ、これが、10月になると鮭児に変わる。羅臼のキンキ、ウニ、イクラそして、函館、戸井のマグロはトロ。まいった。 もうひとつ、10月の楽しみは脂ののった秋刀魚の押し寿司。これなら帰りの飛行機でたべるのもいい。ちゃんと冷蔵すれば、お土産にも持たせてやれる。 「市場で働く人たちのためのすし屋ですから、高いものはありませんよ」と大将はいう。一仕事終えた、朝ご飯のために、早朝5時から開店する「魚河岸ひかり寿司」。 札幌市が開設する札幌市中央卸売市場、場外のマルカ卸売センターの中にある。仕入れのプロも来るが、地元の買い物客も出入り自由だ。反対側の出口を出れば、そこは、中央卸売市場。

 あまり、魚屋や八百屋の大将たちの邪魔はしたくないが、飲み明かして小腹がすいたときにも寿司を握ってもらえるすし屋だ。

 光水産の社長、光祐人さんは、50歳を契機に独立。30年以上仲買として勤めている間にたくさんの変革をした。市場内に3トンの水槽を実現し、サケ等の北海道の魚、タイやフグなど西日本の高級魚、そして淡水魚を分けて展示したり、空輸のルート開発など、魚をいい状態で仕入れ、見せ、目利きを育てた。「もし、お店にいらしたとき、少人数で、時間が合えば、私がセリ場をご案内しますよ」と笑う光さんは、本当に市場の発展を願っている。札幌の市場全体の水準を牽引したと言われている。そんな社長が、どうしても場外市場に自分の手で旨い寿司屋を作りたいと、口説いて店を任せたのが、ひかり寿司の大将、塚本裕明さんだ。

(2007年12月1日・杉山幹夫)

画像:魚河岸ひかり寿司 魚河岸ひかり寿司

住所 札幌市中央区北12条西20丁目1-20マルカ卸売センター内 電話 011-612-9810
営業時間 5:00~14:00
休店日 日曜日、年末年始(12月29日~1月4日)、市場が定める休市日 ※休市日は開市休市カレンダーをご覧ください
アクセス 地下鉄東西線「二十四軒駅」下車徒歩10分、JR桑園駅徒歩10分
※セリ場見学は、朝6時30分ごろまで、ご来店された方で、2、3名で、セリの状況や、社長の光さんと都合のあったときのみ体験できます。通常の業務メニューではないので、予めご承知ください。
画像:秋刀魚の棒寿司
大将がいう。社長がどうしても一年中おきたいって、それも生魚でっていうから、キンキは年中あるんです。年中旨いけど、水温で脂ののりが違うから、職人としては苦労します。寿司屋一人じゃ絶対にできませんよ。こんな贅沢な実験はと。何度も湯引きしたり、湯引いたあと焼いてみたり、試行錯誤を繰り返したキンキ。うろこを落とした直後、バーナーで皮をあぶることに落ち着いて強い脂を香ばしい香りで包んだのだ。
 飯の酸味を強めに、市場で働く魚のプロたちの舌に合わせた腹持ちのいい寿司もこの店の特徴だ。
画像:秋刀魚の棒寿司
秋刀魚の棒寿司。旬の秋刀魚2007年の秋は親潮が近く、豊漁だ。いつもより大ぶりの秋刀魚の押し寿司を10月いっぱい、食べられそうだ。750円。たっぷり一食分。極上の秋刀魚と透き通る昆布、味と量ともに、割安感が高い。画像:塚本裕明さん
大将の塚本裕明さん。気さくに札幌のこと、寿司のこと、魚のことを話してくれる。2006年7月7日、光水産株式会社の社長に熱烈に誘われて、札幌市美園にあった店をたたんで、単身、この魚河岸ひかり寿司の店長となった。大将は仕入れ先としての光水産へ信頼を、社長は、客として食べる寿司への信頼を。長く、お互いを客として、また、プロとして大切にしてきた関係が、札幌市中央卸売市場の場外、マルカセンターの中に本物を一つ付け加えることになった。

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