刻んできた歴史を感じる店内
中島公園近くにある「珈琲 サティ」は、2007年まで南9条西5丁目の古い一軒家で営業し、2009年11月に現在の場所に移転しました。「札幌コンサートホールキタラ」から西に歩いて約5分のところです。
札幌に来るたびに来ていた方も多いので、移転したことを知らずびっくりしているのでは、と店主の山内達雄さん。1984年6月、中央区南2条西5丁目、当時オヨヨ通りと呼ばれていた仲小路に開店。西4丁目~6丁目にかけて、小さな焼鳥屋、飲み屋などが店を連ねていましたが、1987年、地上げで各店舗がバラバラになり、2歳から住んでいた自宅を改築してサティを再オープン。2007年、暮らした年月を含めると40年以上を共にした家屋の取り壊しと移転を余儀なくされた山内さんは、本当に辛そうでした。
「酒場や喫茶店には、今まで知らない世界を広げる機能があると思います。昔の学生たちは社会の色んな事をそこで学んだし、オヨヨ通りの頃はまだその雰囲気がありました。時代によって移ろっていく“カフェ”じゃなくて、あくまでもここは“喫茶店”なんです」と山内さん。私にとってもサティで出会った人や、会話、過ごした時間からたくさん得るものがあり、大切な場所の1つです。
新店舗にはカウンター、窓枠、食器、照明など、以前の雰囲気が残されています。ゆっくりとした時間が流れ、クラシックの心地よさに浸れるのもサティの魅力。クラシック音楽についてや、どの演奏会に行ったらよいかなども丁寧に教えてくれます。札幌コンサートホールキタラの演奏会の余韻を壊さないよう、ガヤガヤする酒場に行く前に、静かな時間を過ごしに来るお客さんもいます。
コーヒーカップは26年使っているものや、お客さんが持ってきた磁器のカップなどが棚に並びます。バーの雰囲気もあり、ここで飲むエビスビールが何とも美味しく感じます。ウィスキーも用意されています。「タイプの違うお店にしようと思ったけど、メニュー構成、雰囲気も変えなかった。愛着がありすぎたのかな」と、かなり悩んで改装した様子。山内さん、その愛着は私たちお客にもあるんです。残してくれて本当にありがとう。
(2010年5月1日・牧野絵里)
















