円山から札幌の街を見下ろす。
登山道はとても歩きやすい。道の脇に番号がふられた観音像が置かれていて、登山口から頂上まで八十八体。自分が今どの辺りまで登ってきたのかの目安になる。ゆっくり登っていると、家族連れからご年配の方まで、多くの人たちがあいさつを交わし追い抜いていく。
10分ほど登ったところで、草むらからガサガサと小さな音がした。何だろうと、じっとしているとシマリスが登山道に顔を出した。頬を膨らまし、木の実か何かを食べているようだ。僕はエゾリス見る機会がけっこう多いが、シマリスはあまりない。静かに眺めていると、もう2匹が顔を出す。夢中になって餌探す姿が、何とも愛らしい。
はじめの比較的急な斜面を登りきると、樹木の間から街を見下ろすようになる。林床はクマイザサで、トドマツやミズナラの幼木が目立つ。葉の間から差し込む太陽の光を浴びて、オオミドリシジミが飛びまわる。時にササの上で翅(はね)を広げて緑色に輝き、僕の目を楽しませてくれた。街を眺めながら進むと今度は草陰から「ジーッ」とエゾゼミの声。
観音像の番号も60番を超えて終盤に入ると、傾斜がきつくなる。息を乱して登っていくと、目の前をアオダイショウが横切った。再びシマリスが顔を出す。次から次へと現れる動物や昆虫との出会いに顔がほころぶ。
急斜面を登りきるといよいよ頂上だ。石が積み重なった頂上でたくさんの人が休んでいた。円山の標高は225mだが、眺めは見事だ。テレビ塔、JRタワーなどの都心部の建物がすぐ手を伸ばせば届くように感じる。 登山口から、休憩時間を除けば頂上まで約40分。車を持たない僕にとって、地下鉄の駅から直接アプローチできるというのは魅力だ。低山ならではの手軽さ、そして原始の姿を残す森。今度は紅葉の季節に訪れたい。
(2005年8月1日 坂村堅二・記)


















